12/14/2023

「しかし!カール・ルイスに演歌を歌わせたらわしの方が勝つ!!」
 ー両津勘吉

 

 

 本記事は2023年のどもがよアドベントカレンダーの12月14日分の投稿記事です。

 

追記

2023年12月16日 ゴジラ-1.0を鑑賞したので記事を修正しました。

まだクリスマスじゃないしセーフセーフ()

 

 どもがよアドベントカレンダーについてはこちら。

adventar.org

 

 昨日のたっくまんさんの記事はこちら。

 

tackmans-gaming.hatenablog.com


 
 ぬこかわいいよぬこ。「行けるうちに行かなければという危機感に火がついた」「金と暇がそこそこある今のうちに行けるだけ行くしかない」という言葉は身につまされるとともに「暇が…ないんだよな…もしかしなくても大学の卒業旅行が最後のチャンスだった…?」と切なくもなってしまいました。

 

 

 

前書き

 「映画は娯楽の王様」という言葉がある。小説やラジオと違い、視覚と聴覚を両方満足させるから、と単純に理解していたがよく考えれば「映画館」という非日常は五感にそれ以上の刺激をもたらしてくれる。

 決して安くはないしどうせ全部食べ切れはしないのに何故か買ってしまうポップコーン。跳ね上げ椅子のふっくらとした心地よい(あるいは「これに2時間座るのか」とうんざりしそうになる)座り心地。知らない人に周囲を囲まれる独特の緊張感。娯楽の本質は非日常への没入だとすれば、なるほど確かに映画館はいまだに娯楽の王様かもしれない。

 もちろん現代において非日常に没入させてくる娯楽の王様のライバルは多い。映画館と同様に顧客の五感を全力で刺激してくるテーマパーク*1。終わコンと言われ続けながらも家庭の普及率と業界努力でまだまだしぶといテレビ。手軽さと弾数は他の追随を許さないインターネット上の動画配信コンテンツ。今日はこれらの娯楽に今年柳雪がどのように触れたかとともに、其々お勧めしたいものを綴っていきたい。今年は人生初の競馬場観戦とか薬剤師学術大会参加とかもやったんだけどまあ、おいおい。

 また、ここ数年は漸く技術革新が追い付いて、両津勘吉など一部の好事家が追いかけ続けその普及を待ち望んでいたVRバーチャルリアリティ*2が娯楽戦線に台頭してきた。残念ながら初期投資の敷居の高さと筆者自身の三半規管の弱さで手を出せていないため記事では触れないが、来年以降の課題とする。バイクや自転車?筋トレ?うん…まあ、おいおい。うん。

 

映画館

映画館で見たかったのに見れなかった映画

 「記事のメインテーマのように挙げておいて初っ端から見れなかった映画とは何事だ」と思われるかもしれないが、見たいのに見れなかった作品が多すぎるため致し方なし。勿論いずれアマゾンプライムなどでみられるようになるかもしれないが映画館で見る映画は先で触れたようにインターネット上の動画コンテンツとは別の娯楽ジャンルなのでもっと意識して見に行かないとダメ、と毎年痛感している。成長がない…。

eiga.com

 第二次世界大戦ホロコーストユダヤ人の絶滅を国家的事業として遂行するために当時のナチス・ドイツの政治家・軍人・官僚たちが行った「ヴァンゼー会議」をテーマにしたもの。原題はそのものずばり「ヴァンゼー会議」なのだが邦題がアレになるいつもの。

 

eiga.com

 庵野監督の新作。まあシン・ウルトラマンも実は見れてないんですけども。

 

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 黒澤明監督の名作をイギリスでリメイク。脚本:カズオ・イシグロも見たいポイント高い。

 

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 浅田次郎はいいぞおじさん「浅田次郎はいいぞ」

 

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 キアヌのキアヌによるキアヌの為の映画。なぜ見に行かなかったのか2か月前の自分をぶんなぐってやりたい。

 

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 原作好き枠。主題歌がAdoとB'zなのも見に行きたい度高かった。ただ後評判を聞いてしまったので今後も見るかどうかは微妙かもしれない…。

 

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 二次元の実写でも納得のいくキャスティング。沈黙の艦隊はその点非常にアレなので。。。

 

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 これは上映中なので見に行きます、と言いたいところだが年の瀬なんだよな問題はした(現在完了形)。

 パンフにも書いてありますが、「現代を舞台にしたゴジラ映画」としてはシン・ゴジラが一種の完成形をお出ししてしまったので、全く新しいコンセプトをぶち込むしかなかった→ALWAYSの監督呼んで戦後を舞台にして好きに作らせたろ!は成功したといっていいでしょう。映画全体のバランスとしても「街々をぶっ壊すゴジラが見たい」層にも「ゴジラに立ち向かう人間ドラマが見たい」層にもちゃんと刺さるように非常にバランス感覚に気を使って作ったな、という印象です。きちんと絶望的になれるし、きちんと希望を持てる。私は過去のゴジラ映画をちゃんと履修できていませんがそれでも「あっこれはあの」と多少は気付けるくらいのリスペクトシーンの差し込みも心憎い。ただ邦画のやなとこというか、「そこ要る~?」みたいな台詞とかシーンはあるので手放しで100点満点かというとちょっと首をひねります。実際はそういったシーンがゴジラの過去作オマージュで私が知らないだけかもしれないんですが。

 パンパンとか復員省とかレイ戦の言葉が特に説明もなくお出しされるのである程度時代背景の知識が必要にはなります。過去を舞台にした弊害とも言え、テレビドラマならナレ解説や後解説を入れればいいんですが映画である以上そういうものでしょう。勿論時代背景と演出的にもこの辺の言葉をわざわざ説明させたら興覚めなのでそういう意味でも正しいと思いますし、逆に知識があるとニヤッとできますからまあこれはこれで。

 めちゃくちゃアメリカでウけてるらしいですが、ちょっと自分なりに理由を考察してみると「その場にあるものを使って何とか生き汚く戦い抜く」、というのゾンビパニック映画とかの文脈の気がしますね。またネタバレになるので多くは触れませんが、国や国際機関といった大きなものよりも友人や仲間といったパーソナルで血の濃い関係性で困難に立ち向かう、というのもアメリカ人受けしやすいのかもしれません。

 役者さんはあまり文句の付け所がないです。神木君が苦しむシーンとか非常にいいですね。いい役者さんになりました。ヒロインの浜辺さんもいいですね。

 あと軍オタは是非見に行ってほしいです。多分損はしないので。

 

 以下より、今年ちゃんと見た映画。

 

世代交代を告げる『最終章』 「ガールズ&パンツァー 最終章 第4話」

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 ガルパン最終章もようやく4話。戦車の滑雪シーンを何が何でも描きたかったんだな、というのはもういっそ清々しくて良い。

 わざとらしいほどに新世代、世代交代を描いた本作。仮にも最終章と銘打っておきながら新キャラのオンパレード。なんというか「萌えミリ」も十分に市民権を得た昨今において、そのジャンルにおいてガルパンすらも世代交代する、ということを描き出しているようで一筋の切なさもあった。

 

欲しいのは、胸の高鳴り。 「ドリーム・ホース」

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 家庭にも、人生にも、将来にも、行き詰まりと停滞を感じていたウェールズの主婦が猛烈に一念発起して競走馬を育てる、という実話を元にしたヒューマンドラマ。

 もちろん馬が本当にいい。レースは映画館で思わず「差せッ!!」と呟いてしまった。「ヒューマン」ドラマなので人間もすごくいい。「終わった」田舎町でみんな感じていた行き詰まりと停滞。そんな中で「サラブレッドをみんなで育てる」という一大プロジェクトを立ち上げるわけですが一人一人の金銭的負担額、「週10ポンド(およそ2000円)」がまた絶妙なんです。決して人生をかける程の金ではないが、場末の飲んだくれが心配される程度の金。「胸の高鳴り」を求めるにはこのくらいでいい、このくらいがいい、という負担感。でもその胸の高鳴りは、彼らを、町全体を熱狂させていく。

 「柳雪さんが推す競馬の映画かぁ」と思わずに見てほしい。取り敢えず熱海には持ち込んでやるからな。ウェールズ好きには絶対に見てもらう。

 

全世界3京人の哀ちゃんファンのための映画 「名探偵コナン 黒鉄の魚影」

eiga.com

 灰原哀という女をあんなにしちゃった江戸川コナンとかいう男はちゃんと責任をとれよ。(シェリー強火担のジンニキみたいになっちゃった

 第2作からずっと映画館で鑑賞しているので足掛け20年以上コナン映画を見ているわけですが、ここ数年はコミックスもびっしりとは追えておらず映画館で「あーそういえばそうだった」ということもある感じ。今回は哀ちゃん中心ということで黒の組織ががっつり描かれてちょうどいい復習になりましたね。

 片淵監督が仰ったように名探偵コナンは子供向けには作っていない*3ので大人向け路線は「しゃーないかなあ」というお気持ち。というより、多分私が「コナンが大人向けに作られている」ということがちゃんとわかるようになったことで、小中学生のころにコナン映画を大人向けと知らずに触れたことで得られた「ちょっと背伸びした映画を見た感触」がなくなってしまったことがこのどうしようもない喪失感の根底にあると思うので受け入れるしかない。

 下の朝日の記事だけ読むと「少なくとも最初のころのコナン映画は子供向き」と取れる発言をしていますが「お前(記者)コナン映画ちゃんと見たのか??(OOIZM)」感がすごい。あんなえっちな告白シーンがある摩天楼が子供向け…?

globe.asahi.com

togetter.com

 

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン|USJ

 

 ユニブァーサァル・ストゥーディオ・じゃぁーーん!!!

 今年は誕生日プレゼントの一環として年パスをいただいたので家から1時間という好立地もありかなりのハイペースで行きました。来年はコナンやるらしいからまた行く。

 ふぉるくんお勧めのナガシマスパーランドもまだ行ったことないし行きたいわね。

 

・3月の朱里さんと私の誕生日祝い

 どもがよ鯖では大分認知されてきたが私と朱里さんは誕生日が同日でありお祝いしていただいた。みんなも誕生日に行って誕生日シールで浮かれていけ。会うスタッフ会うスタッフみんなに祝ってもらえるし何ならそのへんの知らん人から祝ってもらえるぞ。

 

・7月のヴぃニキの誕生日祝い

 鯖住人が大挙して大阪に襲来しUSJで遊び歩いた。あのメンツでよく団体行動できたな我々…。詳細はのぞみさんの記事で。

 

・8月の朱里さんとの突発行

 わし「絶叫系乗りたいから来週月曜日にユニバ行くわ」

 朱里さん「同行しよう。どちらかが吐くまで勝負な」

 わし「やってやろうじゃねえかこの野郎!」

 売り言葉に買い言葉でジェットコースターに乗りまくる。まあ筆者は楽しいのでいいのですけど。

 

・10月のハロウィーンイベント

 白衣着て行ったのに全然ゾンビさんたちがファンサしてくれなかった(悲しみ)(もっとファンサして欲しさみ出してけ)。

 

・11月のヴぃニキリベンジ

 この人本当にスパイダーマン好きだな。あと関西組マジで何回行ってんだユニバ。今年2024年も行くぞ。

 

 

 

テレビ

アストリッドとラファエル 文書係の事件簿

www.nhk.jp

 NHKは深夜の変な時間帯にいろいろやっている。昨年ネット民たちの話題をかっさらい、なんなら今も「おやすみタローマン」と称して深夜フィラーで謎のパントマイムをしているタローマンも元々はNHKの深夜枠で放映された。

ja.wikipedia.org

専門家気取りのウィキペディアンが書いたとは思えない書き出し。言い切っちゃったよ。

 その深夜枠の中で「海外ドラマ枠」があり、日曜11時から様々な海外ドラマが吹き替えで放映されている。アストリッドとラファエルはそのうちの一作で、今年は既にシーズン3、来年1月からシーズン4の放映も決定している人気シリーズ。

←アストリッド    ラファエル
(日吹き替え:貫地谷しほりさん、林真里花さん)

 舞台はフランス、パリ。犯罪資料局の文書係を勤めるアストリッドは幅広い分野の深い知識と洞察力、鋭い注意力を持ったいわゆるホームズキャラで自閉スペクトラム症ラファエルは猪突猛進型の刑事で同僚の恋心に気付かなかったり上司に逆らったりするいかにも古き良き刑事ドラマの主人公で離婚した前夫の間に息子がいる。

 物語は一見超常的であり得ない事件を科学的、合理的思考で解き明かしていくガリレオTRICKのようなタイプのミステリードラマ。しかし前述の通り彼女らを含め登場人物の多くが重い背景を抱えており、シーズン3では殉職したアストリッドの父にまつわる話を主軸に描かれた。登場人物が相互理解を進めることで、少しずつ全体の物語が進んでいく。

 真面目に海外ドラマに向き合ったのがほとんど初めての経験ということもあり、物珍しさから評価が高くなってしまう向きがなくもないが、恐らく作品全体のテーマとして描写されている「相互理解の大切さ」を深く染み入るように感じさせる。安易に「この二人絶対付き合ってる!!!!!!!!!!!」とか言えないくらい、ゆっくりとゆっくりとお互いを理解していく姿の滋味をぜひ味わってほしい。勿論シーズン全体を貫く大きな流れはあるが、基本的に個々の事件で完結する形式なので途中から見始めても問題ない。*4

 シーズン4はNHK総合1月14日(日)夜11時から。

www.nhk.jp

www.mystery.co.jp

 

2023年大河ドラマ「どうする家康」

www.nhk.or.jp

【注意!】本項は非常に思想が強いです。「アドベントカレンダーにそういうの求めてないから」という方は飛ばしてください。

 この記事を書いている時点で最終回一つ手前、47話まで。

 今年の大河ドラマ、特に夏頃まで非常に評判がよくなかったですね。ここ最近は手のひらを反すように絶賛されてます。雑誌連中の手首が高性能モーター式なのはいつものことですが、ただもう何万回何億回も言われているでしょうがそれでも声を大にして言いたいのは大河ドラマは歴史を基にしたフィクションであって史実再現ドラマじゃねえんだよ」ということでしょう。よしながふみの大奥に「男ばかりの大奥なんて嘘っぱちだ」なんて言いますか?ヒガシの大岡越前に「たかが地方の一奉行が御三家藩主をお縄にしたらもっと大問題になるしそもそもそんなに簡単に出歩ける身分じゃねえだろ」なんて言いますか?そんな連中がもしいても無粋の一言で切って捨てられるのがオチです。ですがこと「大河ドラマ」に関してはこれが許されるらしい。責められるべきは「この物語は歴史を基にしたフィクションです」のテロップを入れないNHKであって、断じて脚本でもキャストでもないはずです。

 「NHK」「大河」ドラマは今やそれそのものが歴史と言っていいブランドとなっており*5、「時代考証」「ドラマ的面白さ」の大義名分のもと、可哀想なぐらい滅多打ちにされていました。ドラマにかこつけてNHK松潤に文句を言いたいだけの人間の声が大きかったことも残念です。

 歴史を基にしたフィクションである、ということをきちんと分からせることに関して近年の大河ドラマは非常に意識的にやっている節があり、2021年「青天を衝け」は「明治時代を舞台にしているのに番組の前説に徳川家康(北大路欣也)を起用する」という非常に冴えたアイディアを披露してのけました。2022年「鎌倉殿の十三人」も「後白河法皇(西田敏行)が夢枕に立つ」「藤原秀衡(田中泯)の自らの死と奥州そのもののその後を映すようなダンス」のように大物俳優が歴史的人物というよりドラマの登場人物であることを印象付けるシーンを演じるとともに、「大泉洋を筆頭に実力派の喜劇俳優が毎週必ずと言っていいほどコメディシーンを挟み粛清と内紛に彩られた陰惨な一年全体でのシリアスとの緩急を付けて『物語』であることを強調する」といった形をとっています。

 このあたりの努力が、「どうする家康」において十分だったかは確かに議論の余地があります。

 最序盤で信長自ら義元を討ち取ったり*6家康勢が圧倒されてる表現にしても笑っちゃうくらいでかい清須城*7が出てきたりとわからせフィクションを出してはいました。しかし前者は実際に義元を討ち取った毛利新介はたぶん歴史好きしか知らないし、後者は「天守がない*8」などという見当違いな突込みが入る始末。なまじ戦国時代という散々しゃぶりつくされた時代だからこそ、中途半端にしたり顔の視聴者が増えてしまった可能性も否めません。

 西郡局の性指向や時代背景を考えるとあまりに先進的すぎる築山構想などかなり踏み込んだ表現があったのは確かですが、だからこそ「史実を基にしたフィクション」として受け入れるべきではないでしょうか。そういう意味では来年は平安時代ですから、時代考証系のツッコミはマジモンの平安時代好きしか沸かないでしょうし*9私自身も小ネタを開陳できるほど詳しい分野でもないので種本片手に楽しみたいと思います。

 また、大河ドラマが「1年かけて主人公の成長を描く物語」でもある以上、序盤の家康がよわっちくて情けなくて泣き虫でわがままで行き当たりばったりのどうしようもないやつなのは本来当然*10であるはずです。しかしその点まで「こんなうじうじした情けない家康は見たくない」だの「神の君(笑)」だの言われるに至っては「最初から最強チートの主人公が見たいならなろう系をどうぞ」とでも言いたくなります。「どうする家康」は決してチート転生モノではなく、義元の王道も、信長の覇道も、秀吉の夢も、瀬名の信念も、武田の覚悟も、兄の無念も、茶々の憧憬も怨念も、家臣たちの忠誠も、全て全ておろちの胎へ呑み込んでゆく乱世の化物しろうさぎの成長譚なのですからあれでよかったのです。*11

 長くなりすぎたので今作で個人的な一押しの俳優さんを3人挙げてドラマ部分の稿を終えます。

・岡部大(平岩親吉 役)

 

他にもお笑い関連の人は出ていたがやはり中心は彼。
東京03の角田さんの松平昌久もよかった。

 驚きと共に彼を挙げたい。彼はキングオブコント2018王者のハナコのメンバーで、俳優というよりは芸人である。ハナコのコントは当代一流のそれであり、演技が出来て当然なのだが信康自害の号泣シーンは「もう彼は今後役者として生きていくんじゃないか」と思わせるほど。

ムロツヨシ豊臣秀吉 役)

 

「戦国乱世を最も楽しんだ男」のキャッチコピーがたまらん。

 怪演。出てくる度に出世していき、ニコニコと笑いおどけながらも決して本心を見せない。底知れぬ物欲の怪物たる秀吉を見事に演じきった。海老掬いの節回しで「しーろーうさぎしろうさぎ…」と謡うシーンなんか最早ホラーのそれ。これに寄り添う和久井映見さんの寧々がまたよくてね…。

 

北川景子お市・茶々 役)

家康と対峙するお市

兄の鎧を着て…

ばぁーん!

 

で、これですよ。こんなん脳味噌黒焦げになるにきまってるだろ!!!!!
そりゃ太閤殿下も狂うわ!!!!!!

 やくしゃさんってしゅごい。「男として生まれたかった」と語り、戦い、死ぬお市と希望と絶望を追い続ける茶々のダブルキャストを演じ更に其々の役の中でも恋人、想い人、妻、母、姑、様々な女性の面を揺れ動いて魅せる。圧巻。週末の最終回も楽しみです。

 他にも七之助さんの三成とか溝端くんの氏真とか酒匂さんの光秀とか嘉島陸さんの秀秋とか語りたい役者さんはいっぱいいるんだけどきりがないのでここまで。

 

インターネット上の動画配信コンテンツ


 娯楽は基本的に時間泥棒だ。人間が24時間不眠不休不食でゲームをするだけで生きていけるのなら筆者だってそうするが、娯楽だけでは生きていけない以上、娯楽業界、より広い言い方をすればエンターテイメント業界は顧客が「娯楽」に割り当てる可処分時間を奪い合っている。


 近年、娯楽にタイムパフォーマンス(タイパ)を求めることの是非が議論されつつあるが、例えば「音楽」という娯楽一つとってもわざわざ音楽家を呼び寄せて専用曲を流させる貴族や宗教の音楽から大衆的な音楽堂で演奏されるクラシック音楽へと進化を遂げ、中産階級の発達とレコードの発明で音楽は家で聞けるものになり、ウォークマンの登場は遂に音楽を持ち運べるものへと変え、iPodは「今日は出先で何を聞こう」と家で悩む時間すらその膨大な容量とiTunesで不要にしてしまった。今更議論されずとも社会と技術の発展に合わせて娯楽はコスパとタイパの向上に鎬を削ってきたのであり、エンターテイメントがその発展に伴って費用と時間当たりの情報量を飛躍的に増大させるのは当然とすら言える。*12


 問題は娯楽を「作る側」に回るためにはカネが必要だったことにある。消費する側は1コインでスマホから音楽を買うことができても、より良いもの、受け入れられるものを作り、広め、次に繋げるためには音楽家個人では限界があった。音楽家を養うだけの金を、クラシックホールを建設する金を、大衆に広めるメディアを持つ金を持っている側でなければ、「作る側」には回れなかった。その状況すら技術の革新、インターネットは転回させた。


 ここ数年、いやここ十数年にわたって人々の娯楽の可処分時間を奪い続けるインターネット上の動画配信コンテンツ。AmazonNetflixといった大資本による提供ももちろん強いが、個人による配信もまた急激に市民権を得ている。今や巨大資本がなくとも、YoutubeTikTokという世界中に配信できるメディアを使って個人が自分の人生を「娯楽」にして金が稼げる時代になってしまった。*13
 日本におけるこの「個人でインターネット上に娯楽を配信する」先端を走っていたのはニコニコ動画だった。もちろんニコニコ動画黎明期からYoutubeは存在していた。なんならインターネット老人会の茶飲み話の定番は「ニコニコ動画は最初YouTubeの動画にコメントを付けるサイトだったんだよ」というやつだが、ニコニコ動画が画期的だったのはまさにそれで、それまで『放映されるものをただ見る』、受動的な体験であった動画視聴に『みんなと一緒にコメントを入力する』、即ち「参加できる娯楽」として能動的な体験をもたらした。日本のインターネットギークは、ニコ厨たちはこれに熱中した。


 しかしニコニコ動画が「参加できる娯楽」を重視し続けたことはいつしか顧客側とのひずみを生んだ。いったいニコ厨の何割が、ニコニコ動画をブラウザで立ち上げるのと同じ気軽さで東京で行われる大会議を、超会議を楽しみ、ニコファーレを訪れることができただろう。ニコニコ生放送は明らかに今の配信系Youtuberをまとめて取り込める地力を持っていたにも拘らず、日本のインターネットにおける動画配信コンテンツの覇権を維持し続けることはできなかった。*14
 娯楽の王様たちが集う娯楽戦線の最先端にある「インターネット動画配信」、さらにその最前線には「Vtuber」と「VR動画配信者」がいるわけだが、老骨ではそこまでついて行けていないので、非常に古典的ではあるが「今年楽しんだインターネット上の動画」をいくつか挙げてお茶を濁すことにする。

 

 

潘めぐみ MEGUMI HAN 「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』#00」

www.youtube.com 結局誰もAC6について触れる様子がないからちょっとだけ触れていくぞッ!
 アーマードコアシリーズは伝統的にキャラクターのビジュアルイメージがほとんど公開されていないため、ボイス以外は共有されるイメージがないはずなのだが某絵師さんの力によりなぜか「黒髪ショートボブ緑色の瞳黒いスーツ」で認知共有されてしまった恐るべきキャラクター、オールマインドを演じる声優さんのプレイ動画。
 ゲーム内では非常に凛々しく、でもまあ色々あってネタ満載のキャラクターで愛されているオールマインド(を演じる声優さん)が(多分)慣れないアクションゲームを一生懸命プレイする様子はAC6プレイヤーを心の底からほっこりさせ、愛されることになった。もっと火をつけてもろて。


和田竜二の引退競走馬を追う‼︎ 「メイショウドトウに再会!! ノーザンレイクさんを訪問しました!」

 www.youtube.com


 俺の推し俺の推しに会ってる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 やっぱもっと馬やリュージに会いに行かなきゃだめだな。来年は京都行く。
 


さまぁ〜ずチャンネル 「【最高の名勝負でた!】戦略型ボードゲームで三村大竹が激闘!」

www.youtube.com


 結局好きな芸人さんのチャンネルを挙げてしまった。個人もVのものも詳しくないからお兄さん許して。
 2人のおじさんがコリドールをやるだけなんですが基本的に二人ともボドゲに不慣れ。普通こういうそのゲームを誰もやり慣れていない人のゲームプレイ動画はそれこそ潘さんレベルの「もうその人がそのゲームでしゃべるだけで面白い」みたいなレベルでない限り知ってるプレイヤーとしてはフラストレーションが溜まってしまいますが、そこは流石に一線級の芸人さんとバリバリにテレビで活躍している制作会社。ポンコツムーブとおじさんのぼやきをうまく笑いに昇華しています。*15

 他にも2人のおじさんが2人用ボドゲをやってる動画があるので普段ボドゲに触れてない勢がボドゲに触れるとどうなるか、というテストケースとしてもぜひ。

 


 
 来年もなるべく多くの娯楽に触れられるといいなあ。
 
 
 
 明日は朱里さんです。タイトル未公開ですがきっと皆さんをワクワクドキドキ楽しませる記事を書いてくれることでしょう!

*1:同じ系列にスポーツ観戦もあるが今年行けていないので割愛

*2:こち亀にはVRにまつわる話が驚くほど多い。90年代初頭にフルフェイスヘルメット型のディスプレイとステアリング型コントローラーでレースゲームをさせたり、ヘッドマウントディスプレイとグローブ型コントローラーでVR盆栽ゲームをやらせたりしている。

*3:私自身「小学生も見る映画なので状況説明的なセリフが必要なのはわかるがちょっとわざとらしすぎねえか」、とTwitter(現:X)で愚痴ったりしている

*4:そもそも筆者もシーズン1は見れていないので

*5:2019年の「いだてん」は1964年東京オリンピックまでを描きましたが大河ドラマは1963年に第1作が放映されています。今年は大河ドラマの成り立ちを描いたNHKドラマ(テレビ70年記念ドラマ「大河ドラマが生まれた日」|NHKアーカイブス)もやっていましたし、「大河ドラマ大河ドラマ」が描かれる日も、そう遠い未来ではないかもしれません。

*6:雑兵首でもあるまいし槍先に括り付けるのはアレですが。

*7:そういえば「清須にあんな丘はない」とかも突っ込まれてましたね。

*8:一応付記しますが、そもそも一般的にイメージされる高層建築物としての天守安土城から。

*9:そして知識と記録に基づいた指摘はそれはそれで尊重されるべきです。先の清須の丘も土地考証の誤りというよりはドラマ的な都合でしょうから枝葉末節と言ってしまえばそれまでですが、それでも地理好きや周辺住民以外の人間にとってはなかなか得難い知識でしょうから大事な指摘でしょう。

*10:だからこその「白兎」でもあるのですし。

*11:真田丸でしっかりと信繁周りが描かれた反動か、「乱世の人間を食うために戦っているのではなく戦いしか知らない化け物扱いするのはどうよ?」という意見もありました。ですが今作の織田や武田の世紀末的な「戦うための戦士育成」を見せてきて、そこで純粋培養された勝頼が築山構想をぶち壊したことを描いてきたからこそのシーンですし、そもそもその考え方が悲劇しか生まないことは織田と武田の最後で散々示されました。信繁がウォーモンガー武田の精神を継ぐ最後の生き残りであり、信長とともにごろつきと一緒に戦闘訓練に勤しんだ市の血を引く秀頼を支えることは象徴的ですらあります。

*12:勿論これはタイパとコスパを非合法な手段で切り詰めたファスト映画などを肯定するものではない。

*13:その是非はここでは論じない。結局のところテレビの芸能人もYoutuberも、もっと言えば画家だろうが小説家だろうが音楽家だろうが自分の人生を「娯楽」に変換して金を稼いでいる点において何ら変わりがなく、そこにあるのは資本主義的な成功者と失敗者のみでしかない、と考えるからだ。

*14:この「ニコニコ動画は何故Youtuberを作れなかったか」はもうきちんと調査の上文章にするべきと思うのでこの辺にしておく。

*15:まあもしかしたら私の場合「さまぁ~ずがボドゲでしゃべってるだけで面白い」みたいなレベルに達してるのかもしれません。甘過ぎんよ~。